シンプルで、美しく、使いやすく、高い耐久性の歴史的名作イス

artek "stool 60"

artek "stool 60"

本体価格 ¥22,700 (税込価格 ¥24,516)

フィンランドでの生産量に限りがありますので、ご希望の方はお早めに、ご注文、ご予約をお願いします

世界で最も有名なイス。そしてこれ以上にないシンプルさ、美しく、使いやすく、高い耐久性を備えた、名作家具。それがこの「artek "stool 60"」です。

つくったのは、歴史的なフィンランド建築家のアルヴァ・アールト。作られたのは、1933年のこと。なんと75年に渡って、今なお変わることなく作り続けられ、世界中の人々に愛用されています。これまでに作られた数は800万脚以上、といいます。

そして皆さんご覧になってお分かりの通り、たくさんの数の「類似品」や「偽物」が存在する椅子、でもあります。しかしこの本物の「stool 60」だけが作り続けられ、さらに場合によっては75年前のものが今でも壊れることなく、きちんと使われ続けています。これは何故なのでしょうか?

その理由、ひとつには北欧の人々、特にこのイスの故郷であるフィンランドに暮らす人々がモノを大切にし、使い捨てることを良しとしない、という国民性をもっているということ。

そしてさらには、安価で安易に作られた類似品とは違い、この「stool60」だけが独自の「L-leg」という特殊構造を備えて作られ、これによってシンプルな木製家具ながらも、高い耐久性を保っている、ということ。


そんな「artek "stool 60"」をご自身の手で組み立てていただくことができる、専用パッケージです。組み立てに要する時間はわずか15分ほどですが、実際に組み立てていただくことで、簡素にして完成されたその構造の秘密を、さらにご理解いただくことができる、そんなキットになっています。もちろん完成するのは、正真正銘、本物の「stool 60」。





たとえばAppleStoreで使用されているイスやテーブルが、このArtek社のものであることからもお分かりの通り、同社のほとんどのデザインが70年から30年以上経過したものであるにも関わらず、現在においてもそのクオリティーの高さを備え、古びていないこと。そしてその存在が尊敬を集めていることはお分かりでしょう。

単に腰をおろすものでは無く、花瓶を飾ったり、小型のオーディオやテレビを置いたり。「いろいろ使い回しのできるシンプルな「置き台」をお探しの方はもちろん、家具やデザインが大好きな方や、新築、改築、引っ越しのための贈り物にも最適です。

実際に「artek "stool 60"」を部屋に置いてみると分かるのは、その簡素なフォルムと構造、脚も3本と最小限とすることで、必要以上に目立たず、部屋の雰囲気を乱すことがないことです。そのため、どんな場所にも馴染み、さらに飽きることが無い。長く使い続けられる、世界中で愛用されている理由でしょう。

作業用、学習用、キッチンやリビング用などどんな場所でも使えて、軽量ですから、移動もラク。さらに、もともとは図書館での利用のためにデザインされたイスですから、未使用時には沢山のイスを積み重ねて保存することができる構造を持っています。

いす文化である西洋では「stool」とは背もたれのないものを分類し、「chair」とは区別されます。座面が平らなため、小型のオーディオ機器(写真はTivoli Audio "Model One")や花瓶などを飾っておく、小型のテーブルとしてのご利用にも最適です。ソファー横のコーヒーテーブルとして使うのにもピッタリです。

そのままお客様用のイスとして転用したり、積み重ね保管ができきることは、一人暮らしの方や、少人数のご家庭にも嬉しいことですね。変わることのないデザインですから、家族が増える度、転居する度に、「stool 60」を少しずつ増やしてゆく、というのも楽しいですね。





素材にはフィンランド産のバーチ材、白樺が使われており、フィンランドの熟練した職人たちの技術によって、ひとつひとつ作られています。最初は白っぽい表面ですが、使うほどに表面の色が変化し、あなただけの「stool 60」となってゆきます。

「stool 60」が、このたいへんチャーミングで温かみのあるフォルムを保ちながら、同時に非常に丈夫な構造を持つことができること。これはartek社だけの特許である、「L-leg(エルレッグ)」というテクノロジーによるもの。

座面に向かう脚部の、なめらかで綺麗なラインにこの構造が組み込まれていますが、無垢の材の美しさを保ちながらも、曲面の部分のみ積層合板の利点を生かし、強度と耐久性を持たせる、というもの。1930年代に登場してきた金属製のイスに負けないものを、フィンランド産の木材で実現したい、というアールトの理想と信念が作りだした技術です。





パッケージは持ち手が付いていて、たいへんコンパクトなもの。梱包材などを一切使わず、しかし内部でそれぞれの部品がぶつかったりすることがないような構造が、2枚から構成される厚紙でできています。部品がもっとも薄くなるよう、まったく無駄なく作られた、見事なパッケージです。

またパッケージの内側には、artekがリリースした家具がアイコンとなって掲載されていて、年代別にきちんと整理されています。組み立てが終わった後も捨てることができないパッケージです。家具やデザインが好きな方なら、大喜びされる贈り物になることでしょう。


もしあなたが、これからの長い時間をいっしょに過ごすことができる、家具をお探しなら。そして贈られた方とずっと一緒にそばに置いていただける価値のある贈り物をお探しなら、この「artek "stool 60"」が最適です。





本品にも使用されている「L-leg」のイラストがあしらわれた、artek社創業50周年を記念するポスターのデザイン 








使うほどに、このように色が変化し、さらに愛着のあるものになってきます 





これは「2nd Cycle」というイベントのために集められた古いstool60 所有者によって様々な色に塗られ、それがはげ落ちたいまでも、原型はそのままです





座面が平らなため、ソファー横に置く小型のテーブルや花瓶の置き場など、様々な使い方が可能です


Quantity


1パッケージから出来上がる数量:1つ

Sizes


完成型:直径最大幅38×高さ44cm
座面サイズ:直径35cm

Material


フィンランドバーチ(白樺)

Country of Manufacture


フィンランド製

Profile


Alvar Aalto(アルヴァ・アールト)

発売された年:1933年

Brand Name


artek(アルテック フィンランド)



Product Guide


三脚のイスですから、座るときはご自身の足の間だにスツールの1脚がくるようにすると、最も安定します。

Notes


天然の木材を使用していますので、ひとつひとつの木目や色合いは異なることがあります またフシなどが存在する場合もあります あらかじめご了承ください

本製品は組み立て家具のため、返品はできません

Product Guide





「artek "stool 60"」は座面が平らなため、小型のオーディオ機器(写真はTivoli Audio "Model One")や花瓶などを飾っておく、小型のテーブルとしてのご利用にも最適。ソファー横に置くコーヒーテーブルにもぴったりです。

そのままお客様用のイスとして転用したり、積み重ねて保管ができますので、一人暮らしの方や、少人数のご家庭にも最適。なにより飽きの来ないデザインですから、ながく、いつまでもお使いいただくことができます。





Material


「artek "stool 60"」が作られるまで物語





みなさんご存じの通り、フィンランドは森の国。国土の70%が松、もみ、白樺の三種類の森林で覆われているフィンランドは、17世紀に造船業や製鉄業の発達とともにこの木をタールや燃料として輸出することが盛んになって、国内の工業が勃興します。しかし銅以外の鉱物資源にもとぼしいフィンランドでは、さらなる木材の用途を開発し、量産して、輸出品とすることが急務となっていました。

これに挑んだのが、建築家、アルヴァ・アールト。1930年代は金属製の家具の生産が始まった時代。一時期、アールト自身もスチール製の家具をデザインした時代がありましたが、このフィンランドの木材を使った家具作りに熱中します。

それは彼がフィンランド人として、なにより木材のもつ温かみを好んでいたこと。そして自国フィンランドの産業復興のため。流行のスチール製家具と同様に、強靱で大量生産が可能、そして魅力的なデザインを備えたフィンランド産、フィンランド製の木製家具が必要とされていたのです。





これを実現するためアールトは3つのことを成し遂げます。一つは、フィンランド製の木材を使いながらも、スチール製の家具のように、堅牢で、大量生産ができ、そして木材のもつ情感のあるぬくもりを保つことができる技術の開発。これには3年の年月をかけて「L-leg」という独自のテクノロジーが開発されます。

次に、これらの家具を製造し販売する会社。このために、なんとアールト自ら、そして妻と友人の4名で会社を興します。会社名は「art(芸術)」と「Technology(技術)」の融合を意味する名前が付けられます。これが「artek(アルテック)」社。

そして3つめは、その美しいデザイン。いつまでも飽きることが無く、なにより合理的で使いやすい形。

このようにして完成したのが、この名作イス「artek "stool 60"」。1935年に販売が開始されてから総出荷数は、なんと800万脚以上。発売を開始して75年という時間が経過した超ロングセラーであり、現在でも変わることなく作り続けられ、今日も世界中で使い続けられています。




1935年に竣工した、アールト設計の「ヴィープリ図書館」にずらりとならぶ「stool 60」






Manufacturer


「artek "stool 60"」の構造の秘密、「L-leg」






一見、たいへんシンプルに見える「artek "stool 60"」。しかしこのスツール、良く眺めてみると、たいへんチャーミングで温かみのあるフォルムを持っており、また実際に使用してみると、非常に丈夫であることがわかります。これを実現しているのは、artek社だけの特許技術である、「L-leg(エルレッグ)」のテクノロジーです。

この「stool 60」をデザインしたアルヴァ・アールトは、フィンランドバーチのもつ温かみのある素材を使用しながらも、金属のような堅牢性を備えさせ、さらに量産に適したものとするために、もともと北欧の伝統的な木工技法であった「挽き曲げ」を応用した独自の技術を考案しました。

この技法を使用し、75年もの間、変わることなく、熟練した職人の手を、コンピュータ制御された近代技術を使って、この「stool 60」は作られています。


実際の加工過程のものをArtek社からお貸し出しいただきましたので、それを見ながら解説しましょう。(AssistOn原宿店の店頭でも展示しておりますので、実物がご覧いただけます)






バーチ材を裁断し、厳選した良質の無垢の角材。これに曲面となる部分のみにだけ、のこぎりで挽き目(すき間)を入れます。次にこの挽き目に「ラメラ」と呼ばれる薄い板を入れます。つまり、曲面にしたい部分だけにのみ、積層合板のような構造を作りだすわけです。




挽き目と薄い板を接着し、積層合板と同じように、蒸気の力をつかって木材を曲げます。木を曲げる時の力は木材にとって大きな負荷となりますが、「ラメラ」が組み込まれた構造によって、力は均一に分散、さらに耐久性に優れた構造を作り出します。

このように「L-leg」の構造は、無垢の材の美しさを保ちながらも、曲面の部分のみ積層合板の利点を生かし、強度と耐久性を持たせる、経年変化に強い、という特性を持った技術、ということが言えるでしょう。






Package





紙製パッケージ 日本語による組み立て解説付属
パッケージサイズ:41×45×10cm 本体座面、脚(3本)、ネジ(+)





2009年にリニューアルされたArtek社の新パッケージデザインにあわせて制作されたもので、同社のスローガンである「One Chair is enouch」というメッセージが入っています。裏側には「Stool 60」のアイコンがあり、捨てずにとっておきたいパッケージです。





How to Use


artek "stool 60"の組み立て方






(写真は旧パッケージのものですが、基本は同じです)

それではさっそく組み立てを開始しましょう。製品の歴史などの解説が書かれた美しいパッケージを開くと、薄型のパッケージの中から、スツールの座面があらわれます。

パッケージは2枚の厚紙で構成されていますが、その2枚が樹脂製のハンドルで固定され繋がる構造。パッケージの固定には、ノリなども全く使われていませんが、きちんと、しっかりしたパッケージになっています。また、余計な梱包材も一切ありませんが、それぞれのパーツが中で揺れたり、音を立てたりすることも無く、しかも最も薄くなる方式で収納されています。まったく見事です。




ネジ類はきちんとまとめられており、仕切りの紙を持ち上げると、中から3本の脚がパッケージのスペースを無駄なく使って、収納されています。




さらに脚を持ち上げると、パッキングリストと、スツールの組み立て図が現れます。ネジは1脚につき、3本で固定します。ねじ回しは製品に含まれていませんので、プラスのドライバーをあらかじめご用意ください。




完成!約15分もあれば完成させることができました。実際に座ってみて、ぐらつきが無いかを確かめます。三脚のイスですから、座るときはご自身の足の間だにスツールの1脚がくるようにすると、最も安定します。






Interview


ARTEK社  輸出部 日本/アジア市場担当者
アンニ・アイリンピエティさんにうかがいました






この「stool 60」をアールトは4本脚ではなく、3本脚にしたのはどのような理由であるとお考えでしょうか?

アールトは機能主義をとても大切にした建築家またはデザイナーです。家具をデザインした時に、素材、形(フォルム)、構造の面でシンプルさを追求しました。その故、部品の数もできる限り少なくしました。このような考え方から3本脚の「stool 60」が誕生したと考えています。




「L-leg」と言われる脚部は、どのようにして誕生したのでしょうか?
誕生秘話などございましたら教えてください。


1930年代に多くのデザイナーがスチールを使った商品をデザインした時、アールトはぬくもりのある、フィンランドで簡単に手に入れる木であることに配慮し、無垢の木材をスチールのように曲げる手法を開発しました。

「L-leg」は3年の研究開発の結果です。長期的な研究開発によって生まれた、優れた自然材料でつくられる「L-leg」は頑丈な部品で、アールトの家具は数十年使っても丈夫で美しいままです。



「stool 60」は、1933年にが発表されてから、75年経った現在でも生産され続け、長く愛用される方から、新たに購入される方まで、多くの人々に親しまれています。

その理由はどこにあると思いますか?


「stool 60」は世界中の人に長く愛用されていることの秘密はアールトの機能主義にもとづいたデザイン哲学や自然素材のぬくもりと高い品質にあると思います。

アールトはモダン・デザインに人間の視点と自然素材を持ち込みました。アールトのデザインは彫刻的で非常にシンプルですが、そのおかげで時代の流行に左右されることなく、世界中で高い人気を保ち、さまざまなインテリアにうまく調和するのです。



AssistOnのお客様にメッセージをお願いします

今の時代において、フィンランド人や日本人の多くは自然環境や人間に優しい生活の大切さに留意すると考えています。消費者として、たくさんのモノより少数の良いモノ、「本物」のモノを選び、長く愛用するのはそういう生活づくりの秘密の1つかもしれないと思っています。そういう中で、artekの商品も選んでいただくととても嬉しいです。







Product Story


環境への取り組みと、Artek "2nd Cycle" について






古いものは新しく生まれ変わりはしないが、
完全に消え去ることもない
そして常に新しい形態に修復することが
可能だ

-アルヴァ・アールト


この「artek "stool 60"」をはじめとして、Artek社は、自国フィンランドに育つ白樺を植林し、この木材を利用した家具を持続的に製造することを続けてきました。昨今「サステナビリティー」という言葉が言われますが、Artekはこれを当たり前のこととして続けてきました。もちろん自国の原材料を使用した製品をつくることは、環境負荷の軽減にも繋がります。

さらに「artek "stool 60"」は、Artekが創設された1935年当時のものが、今でも愛用されている、というケースがたくさんあるようです。これは製品自体が堅牢であり、耐久性のある証拠ですが、さらにArtekが創業以来続けてきた、補修部品の供給サービスをきちんと行い、それぞれの製品の寿命を維持させてきたことも大きいでしょう。




そしてさらに2007年から、Artekは「2nd Cycle(セカンドサイクル)」というプロジェクトをスタートさせました。

これは学校や福祉施設、個人の自宅など、様々な場所で愛用されてきた「stool 60」を回収し、新品と交換するというもの。2007年のロンドン・デザイン・フェスティバルのために600脚の「stool 60」が回収、交換されました。

この時、回収された家具には、その家具が使われてきた場所や歴史を記録。この記録された情報は、RFIDタグ(無線ICチップ)の中に組み込まれ、イスの座面の裏側に取り付ける、というもの。この記録チップが取り付けられた家具は、再び販売され、新しい家具の物語りを作るために旅だってゆきました。

このRFIDタグは携帯電話(フィンランド国内のみ)やインターネットから情報の閲覧や書き込みが可能で、これまでそのイスが歩んできた道のり、物語りを知ることができるだけでなく、新たなオーナーとなった自分自身のストーリーを書き込むことができるわけです。


もちろん、このようなプロジェクトが可能な理由、そして世の中に多く存在する「stool 60」のコピー品に不可能であろう理由は、多くの施設で、きちんと大切に「stool 60」が使われてきた証拠。そして長い年月に渡って使用することができた、「stool 60」の持つ堅牢と耐久性の証明でもあるといえるでしょう。





Profile






Alvar Aalto アルヴァ・アールト(アアルト)


1898年-1976年 フィンランド

1898年 フィンランド中西部のクオルタネに生まれる。測量技師であった父からの影響、母方の祖父が営林職員であったことなどから、小学校入学前から建築家になることを夢見ており、1916年、ユバスキュラの高校を卒業後、ヘルシンキ工科大学に進学した。卒業後ユバスキュラ市で「建築・モニュメンタルアート事務所 アルヴァ・アールト」を開設。1924年には同じく建築家であるアイノと結婚する。

1929-33年設計のパイミオのサナトリウムによって、短期間に彼の建築家としての地位を確立した。また、このサナトリウムのプロジェクトによって、彼の本格的な家具設計が始まった。特にサナトリウム用に作られたアームチェアは、成形合板を使った斬新な座面により「材料革命」と評され、家具デザイナーとしても彼の名を一躍有名にした。

その後一連のスツールを次々にデザインし、自作の家具を国内外に販売するために、1935年に、妻:アイノ・アールト、マイレ・グリクセン、ニルス・グスタフ・ハールとでartek社を設立するに及ぶ一方、建築家としても地位を不動のものとして、1943年にはフィンランド建築家協会の会長に選任された。

第2次大戦後、1950年台に入ると、「赤レンガの時代」と呼ばれる、地方に伝統的に存在する建築表現を継承・洗練させた、赤レンガを多用する作風に変わるが、1955年にフィンランド政府からフィンランド・アカデミー会員に選任され、1963~68年にはその会長職を務めるなど、晩年まで多忙の人であった。





Brand Story





1935年、当時まだ37歳だった建築家のアルヴァ・アールト、彼の妻でありデザイナーであるアイノ・アールト、そして美術に造詣の深い資産家マイレグリセン、そして彼らを引き合わせた美術評論家のニルス・ダスタフハールが、ヘルシンキにあるレストランに集まりました。

貧しい時代ではありましたが、価値のある物を作り出したいという4人の願いは一致し、新たな一歩を踏み出します。こうして出来上がった会社がアルテック。会社名は「art(芸術)」と「Technology(技術)」の融合を意味する名前が付けられます。

アート、建築、出版・教育の三本柱を核にする、というマニフェストがつくられ、この企業理念は70年以上経過した今でも忠実に守られています。また、その製品のほとんどが70年から30年以上経過しているにも関わらず、AppleStoreが什器や備品としてartekの家具を使うなど、古びることなく、またそのデザインにおいて尊敬を集める存在であり続けています。



AppleStore Londonで使用されてる「Stoole 60」の高座版「High Stool 64」









Product Story


フォトレポート「artek "stool 60"」はこの空間のために生まれた、
ヴィープリ図書館の今





文・写真 遠藤悦郎(グラフィックデザイナー AssistOnのロゴなど総合的なデザインも担当)




1933年にアールトの名作椅子「artek "stool 60"」のデザインが生まれた背景には、アールトの建築作品「ヴィープリ図書館」がありました。

「artek "stool 60"」をはじめ現在でも販売されているアルテックの家具のいくつかは、もともと若きアールトが1920-30年代にかけて設計したこの図書館で使うためにデザインされたもの。スツールたちがずらりと登場する写真(クリック)をご覧になったことがある方も多いと思います。これこそが竣工間もないヴィープリ図書館で撮影されたものです。

2008年11月末に、旧フィンランド領ヴィープリ、現ロシア領ヴィボルグにある「ヴィープリ図書館」に立ち寄る機会を得ました。歴史的経緯から、廃墟寸前まで朽ち果てしまっていた名作建築は、現在長い時間をかけて修復中。ここで使われるために生まれた、アールトスツールのための空間の現在、写真で少しご紹介したいと思います。




閲覧室のメイン用ではないものの、各所で新旧のアールトスツールが使われています。




未補修の内外壁は傷みがひどくかなり剥がれています。




閲覧室 自然光が丸天窓の壁面に反射した間接光としてやわらかに注ぎ込みます。年間を通じて直射日光がささないように現地の太陽高度から天井の厚みが計算されているとのこと。人工光も同様に反射板と白い壁面を使った間接照明にですが、訪問時なんと全館停電で、 今回これは体験できず。




一段高くなった管理者カウンターから書架や閲覧スペースが見渡せる段差のデザインは、アールトの後の図書館設計の基本となっています。




エントランスホール やはり天井などぼろぼろ。床材はソビエト時代の張り替えのようです。




修復が進むオーディトリウム 窓ガラスに竣工当時の写真を貼って参考にしながら施工していました。現在この部屋の修復と隣接するエリアの修復がメインで行われていました。撮影は許可されませんでしたが、新聞閲覧室など、きれいに修復が完了している箇所もあります。





ヴィープリ小史


1935年の竣工当時、その図書館のある場所は、フィンランドのヴィープリという街でした。現在はロシア領でヴィボルグと呼ばれています。

ヘルシンキとサンクトペテルブルク(レニングラード)の間に位置し、中世から交易で栄えたヴィープリは、スウェーデン支配、帝政ロシア支配を経て、1917年にフィンランドの独立と同時にフィンランド領になり、首都ヘルシンキに次ぐ国内第2の都市にまで発展します。しかし図書館の竣工後わずか数年の間に、歴史の荒波は街を含むカレリア地方の大半を呑み込み、一帯はフィンランド・ソビエト間の争奪を経て、1944年最終的にソ連領に。フィンランド人が街をそのまま放棄して脱出しもぬけの殻になったヴィープリは、町並みや建物もそのままにロシア・ソビエトの人々が移住しヴィボルグになります。

その後半世紀近く、多くの建物が大した補修もされないままボロボロになっても使われ続け、やがてソ連が崩壊。現在でもわずかな新規建物やきちんとした補修を受けた建物を除くと、街の主要部はほぼ1940年代そのまま状態で、一部は廃墟になっています。

アールト設計のヴィープリ図書館は、戦後しばらく放置された後、若干の補修のうえ図書館として再オープン。以後ロシアになった現在に至るまで市の図書館として使われています。1990年代前半からフィンランドとロシアの共同プロジェクトとして長期計画で補修がスタートし、現在も少しずつながら続けられています。

アールトの建築がモダニズム・機能主義へと大きく転換し花開いた時代の記念碑的な作品と言われているヴィープリ図書館は、長い時間をかけ、じっくりと細部まで設計されています。空間と光と、本と向き合い集うひとびとのあり方を定義する中で、家具デザインも重要な役割を果たしています。そこからスツール60をはじめとした、機能的で美しい木製家具が生まれました。

参考文献/サイト
Alvar Aalto Municipal Library, Viipuri, Alvar Aalto Museum ISBN 951-95631-7-2
アールト財団公式サイト/ヴィープリ図書館
竣工当時の写真や修復中の写真が複数あります。世界中の建築家で構成された援助グループや寄付の案内も。http://www.alvaraalto.fi/viipuri/