戸田デザイン研究室 えほん展

アシストオン原宿店  2006年8月4日 - 8月31日(終了いたしました)

絵本つくりにこめた思い

たんじゅんな、魚の絵・虫の絵・りんごの絵。
描いては消し、描いては消して、
なかなか形がきまりません。

それは、目に見えない、形の奥にあるものを
描こうとしているからです。

苦心して描いた絵を
苦心して編集することが、
子供への限りない優しさの贈り物、
と、思うのです。

戸田デザイン研究室

戸田デザイン研究室
えほん展について

















1982年、一冊の絵本が誕生しました。それが戸田幸四郎の「あいうえおえほん」。

子供たちが、絵、そして平仮名と初めて出会うときの絵本として、これまでに80万人を超える読者に読みつがれてきたベストセラー絵本です。

私たちの身近にある道具や動物、虫、やさい、くだもの、からだ、乗り物。それらのカタチの美しさを表現するため、シンプルに研ぎ澄まされた輪郭線。配色の美しさを追求した色彩。そして、平仮名という文字そのものが持つ美しさを、私たちに再び教えてくれる書体のデザイン。

その見事な調和がこの一冊にある。それが24年にわたって、「あいうえおえほん」を手に取った読者を魅了し続けてきた理由にちがいありません。


今回の展示会では、戸田幸四郎と戸田デザイン研究室がこれまでにつくってきた、「よみかた絵本」「とけいのえほん」「和英じてん絵本」「赤ちゃん絵本」など、41冊の絵本すべてが一堂に会し、アシストオン原宿店でご覧いただけることになりました。これまで一般に公開されることのなかった原画や、リングカードの抜き型などの展示もあります。また新作の「リングカード どうぶつ」「リングカード しきさい」は一般の発売に先駆けて、アシストオンでの先行発売となります。


子供たちがカタチをおぼえ、色の美しさを知り、言葉を交わす楽しさを知る。くりかえしページをめくるうちに、そんな驚きや喜びの「道しるべ」となってくれる、それが戸田デザイン研究室が世に送り出してきた絵本です。


1年間に1冊から2冊というペースで、ゆっくり丁寧につくられてきた、戸田デザイン研究室の学習絵本たち。この夏休みに家族そろって、ぜひお出かけください。

inFocus vol.012
戸田デザイン研究室 えほん展

期間:2006年8月4日から8月31日まで
  (毎週水曜日と17日18日はお休み)
場所:アシストオン原宿店
主催 :AssistOn 戸田デザイン研究室


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通信販売でも
お求めいただけます

戸田デザイン研究室の絵本やリングカードは通信販売でもお求めいただけます。
アシストオン取り扱いのアイテムはこちらをご覧ください。

こども学習えほん
英和・和英じてん絵本
リングカード

戸田幸四郎先生アトリエ
訪問記








































































2006年7月22日、「あいうえおえほん」や「リングカード」などで知られる絵本作家、戸田幸四郎先生のアトリエを訪問しました。戸田先生のアトリエは、静岡の熱海駅から車で15分ほどの、山に囲まれた場所で、すぐ近くには戸田幸四郎絵本美術館があります。絵本美術館には夏休みということもあり、多くの方がおとずれていました。

当日はあいにくの曇り空でしたが、アトリエの扉をあけた途端、目前に広がる山の緑、そして空と遠くに見える海がまぶしく、逆光で、すっと立った戸田さんの影が印象的でした。

天気の良い日はここから海がよく見えるというアトリエには、たくさんの絵の具や色鉛筆、筆、色が重ねられたパレットなどが使いやすいように置かれ、原画や試作などが飾られています。

戸田さんは現在、75歳。黒い帽子をかぶり、やわらかさと深さを持つ方で、アトリエに入るとすぐに落ち着いた声でソファを勧めていただきました。最初に出版した「あいうえおえほん」は、24年経った今でもベストセラーとして、多くの方々に愛されつづけています。その理由はどこにあるのでしょう。

挨拶を終えるとさっそく、創作についてうかがいました。

「遊ぶこと」

子供の頃に良く遊び、雨や風といった自然を感じ、生活の中に、美しいと思うことがたくさんありました。ですから、今でも絵本を創るときにはその頃のように色々とアイデアが湧いてきます。自分のスタイルを決めつけず、常に新しいことに挑戦し、子供のように楽しむ。75歳になった今でも、毎日、絵を描き、楽しみ、遊んでいるのです。

「楽しむこと 感じること」

私がどのような思いで絵本を創っているのか。それは、私の絵本をごらんになられた方が、それぞれに感じ取っていただければよいと思います。

子供たちに知識だけではなく、「感性」を育ててもらいたいといつも考えています。人間性を育てるには、まず感じること、そして楽しむことがとても大切です。楽しんでいなければ、感じるこころも育ちません。

自分が美しいと感じたものを絵本として作り上げる。そして、その本を手にした一人一人が、それぞれの感性で何かを感じとっていただければ嬉しいですね。

帰り際にお土産として、アシストオンへの言葉として、「センスの良い遊び心」と描かれたイラスト入りのスケッチブックをいただきました。

センスとは、私たち、ひとりひとりが、それまでの体験してきたこと、そしてそこから相手のことを考えたり、思いやったりするところから生まれるものであって、決して教えられて出来るものではない、ということ。また、良いセンスとは、私たち自身が毎日の生活を楽しみ、感じることで養われていくものではないでしょうか。

今回の戸田幸四郎先生のインタビュー、そしていただいたイラストを眺めながら、そのようなことを考えて帰ってきました。


インタビュー 斉藤有紀(AssistOn)2006.7.25

戸田デザイン研究室
訪問記




































































































2006年7月12日、戸田幸四郎先生のご子息であり、戸田デザイン研究室の代表の戸田靖さんをたずねました。

戸田デザイン研究室では、戸田幸四郎先生の原画を元に絵本やリングカードを企画し、編集から製品化、販売先への提案などを一貫しておこなっています。それらの企画やプロセスの姿勢も、単に売れるもの、売りやすいものをつくるのではなく、読者、特に子供達にとって良いと思うもの、長い間読み継がれるものをテーマに制作が行われています。そのため出版ペースは年に1作から2作という、通常の出版社では考えられない、たいへんゆっくりしたものではありますが、このようにして戸田幸四郎先生の絵本は、一冊一冊がじっくりと時間を掛け、世に送りだされています。

戸田デザイン研究室は東京ドームのある後楽園から歩いて15分程の文京区小石川の閑静な住宅街に囲まれたところにあり、お寺の脇の坂道を汗をかきながら上っていくとたどり着きます。

今回は、戸田靖さんに最初に出版された「あいうえおえほん」や「リングカード」の誕生秘話や製作現場、そしてこれからについてお話しをうかがいました。

白い表紙に手描きの文字だけ

「あいうえお えほん」の白い表紙に文字だけという装丁に、出版当時は販売会社などから、子供の本だから絵を入れて欲しいと何度も何度も言われていたようです。

しかし幸四郎は一切聞き入れず、絵も文字も自分が一番きれいだと思うものを決して妥協することなく、発売までに2年という通常の絵本では考えられない時間をかけてつくり上げました。

「あいうえお えほん」は今でも変わらず白い表紙に手描きのレタリングの装丁ですが、この絵本が24年もの長い間、子供達に読み継がれているのは、幸四郎が譲らなかった飽きのこないシンプルなデザインがあったからではないかと思っています。

「リングカード」の誕生

以前からカード式の絵本をつくって欲しいという声がありました。それで具体的にどんなカードを作るか考えていたときに、汚れたり、折れてしまった「あいうえお えほん」の絵を切り取り、段ボールに貼って自分の子供に渡してみたんです。そうしたら、綴じてあったときはあまり興味を引かなかったのに、カルタやクイズのようにして好き勝手に遊び始めたんですね。
 
一般的に売られている知育カードと呼ばれるものの何が面白くないか、とっつきずらいのかと考えてみると、印刷や製本などの都合で決まったあの「四角い形」にあるのではないか。ですから私たちは、子供たちがカードを見た瞬間に、面白い、楽しいと感じるものをつくっていきたいと考えました。

そこで、まず幸四郎が手書きで線をひいたお豆のような輪郭を描き、これを元にパソコンで輪郭を描き直して、カードを試作してみました。しかし、そうやってデジタル処理で出来上がったものをみると、手描きのものとは驚くほど雰囲気が違い、面白くない冷たい形になったんです。それではと、幸四郎が手で描いた線でそのまま刃型をおこして作り直したら、今度はとても人なつっこい、温かい感じのカードに仕上がったんです。今、製品になっているリングカードが左右対称ではない少しいびつな形になっているのは、そのような理由からなんです。

これから

戸田デザイン研究室の絵本を皆さんに楽しんでみていただければ、一番嬉しいです。

今度、子供の姿が後ろに隠れてしまうくらいの、巨大なリングカードを作りたいと思っています。実はリングをどうするか、話を進めているんです。どんなものになるのか、ぜひ楽しみにしていてください。

今回のインタビューでは、戸田幸四郎先生の絵本やリングカードを通して、単に絵やイラストを製品の形にすることだけではなく、その考えや思いまでもを読者のみなさんに伝えるべく、妥協のない製品つくりを目指して日々奔走している、戸田靖さんやスタッフの方々の強い熱意を感じることができました。いつか、巨大なリングカードで遊ぶ子供たちを目にする日を楽しみに待ちたいと思います。

この夏に戸田デザイン研究室では新作リングカード「しきさい」と「どうぶつ」の2作が同時発売となり、アシストオンで展示会を行うため、発売日が製品完成前に決まるという初めての事態に大忙しだったようです。8/4から31までの展示会では是非、こころのこもった製品たちをたくさんの方に触れて、感じていただきたいです。


インタビュー 斉藤有紀(AssistOn)2006.7.12

掲載した写真、およびインタビューテキストはAssistOnが独自に撮影、製作したもの、もしくは戸田デザイン研究室から特別に許可を取得し掲載しています。無断転載を禁じます。

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単に見た目のデザインだけではなく、その品質や素材、使い勝手、そしてそれらを作りだした人々の「アイデア」についてもきちんとご紹介していくこと。 商品の販売だけではなく、様々な企画を通して、お客様や商品の流通や作り手のみなさんと一緒に、新しい「モノ」の有り方を考えていくこと。 それが私たちAssistOnの願いであり、また使命であると考えています。

inFocus は、展示会やwebによる情報発信を通じ、いま、まさに旬のさまざまなデザインにAssistOn独自の視点でフォーカスするシリーズです。どうぞご期待ください。