SEED 大けしごむ展

アシストオン原宿店  2006年9月22日 - 10月12日(終了いたしました)

「けしごむ」と聞くと、懐かしい気持ちになるのは何故でしょうか?

こどもの頃、消しゴムは一番みじかな文具であり、おもちゃでもありました。

彫ったり、転がしたり、集めたり、友達に自慢したり。スーパーカー消しゴムでレースをしたこともありました。お小遣いを片手に文房具屋さんへ行き、ズラリと並ぶ消しゴムに目をキラキラと輝かせながら、お気に入りのひとつを手にしてきたことが記憶に残っています。

今回ご紹介する「SEED 大けしごむ展」では、私たちにそんな楽しい思い出を創りつづけてきたメーカーである、株式会社シードにスポットを当てます。

SEED
大けしごむ展について

日本人なら誰もがきっと見たことがある「文房具」があります。その名は「レーダー」。

名前は知らなくても、青いスリーブの「これぞ標準的な消しゴム」という風合いを持ったデザインのパッケージをご覧になれば、きっとみなさんは思い出されるはず。昭和43年に登場し、世界的に大ヒットした、丈夫で良く消えるプラスチック消しゴムの代名詞。それが空色のスリーブが目印の「レーダー」です。

このレーダーをつくっているメーカーが、これまた知る人ぞ知る、株式会社シード。このメーカー、大阪都島区にある消しゴム製造界のトップメーカー。大手文具メーカーにもOEM生産をしており、日本製の消しゴムのほとんどはこのシード社が製造。あなたの机の引き出しや、ペンケースの中に入っている消しゴムも、きっとシード社の工場からやってきたもの。

今回の展示会では、このシード社の創りだした、160種類の消しゴムがアシストオンに勢揃い。

100円くらいのものから1万円する巨大な「Rader」あなたのIQを試すパズル消しゴム、AssistOnオリジナルパッケージいりの「KESHIQ」、そしてまだ発売されたばかりの最新作「けしごむはんこ」やおもちゃのような製品がそろいました。その他にも、消しゴムの原料や昔の天然ゴム製のもの、初期の「プラスチック字消し」など懐かしい消しゴムも合わせて展示します。



オリジナル製品の開発はもちろん、国内のほとんどの文具メーカーの消しゴムを生産する供給元であり、高い専門技術の蓄積を基盤にしたメーカー、株式会社シード(西岡靖博社長)。

ここ数年、文房具の人気が高まり、高級なものや海外製品など、さまざまな製品を手にれることができるようになりました。またデザインや意匠をこらした文具もたくさんあります。しかし、子供たちにも買うことができる価格設定、そして鉛筆で書いたものを「消す」という機能に集約されてしまう消しゴムという文具の分野において、ここまで独創的なメーカーはあったでしょうか?

創意工夫により、たくさんの「けしごむ」を世に送り出し続ける、シード。その挑戦のすべてをぜひこの機会に体験してください。

inFocus vol.014
SEED 大けしごむ展

期間:2006年9月22日から10月12日まで(終了いたしました)
  (毎週水曜日はお休み)
場所:アシストオン原宿店
主催:AssistOn 株式会社シード

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通信販売でも
お求めいただけます

今回の展示会でご紹介した製品、160種類の中から、以下の2点は通信販売でもお求めいただけます。くわしい情報とご注文はこちらをご覧ください。

あなたのIQを試すためにできた消しゴム
SEED "KESHIQ" (写真 左)

定番消しゴムの超大型サイズバージョン
SEED "Radar" Big-size (写真 右)

シード訪問記


































新製品「ほるナビ」「ラクほり」 初心者でも簡単にハンコつくりがたのしめる








かわいくて、ごきげんなメッセージスタンプが57種類はいっている消しゴムスタンプセット








巨大Radar「S-10000」

















あなたの頭脳を試す消しゴム「KESHIQ」

















2006年9月11日に、消しゴムの総合メーカーで、新趣向のけしごむはんこシリーズの開発元でもある株式会社シードをたずねてきました。応対していただいたのは、企画部商品企画課課長の藤井愼也さん(右)と同課の谷脇宗一さんです。インタビューは、2人のお話をまとめて構成しました。

株式会社シードは、1915年に(株)三木康作ゴム製造所として創業し、天然ゴムの応用製品として消しゴムを作ったことでビジネスを拡大しました。現在の社名は、イソップ童話の「カラスと水がめ」(水がめの底にたまった水を飲むために、小石をくわえて放り込んだカラスの話)の教訓から、目標達成のためには小さな努力の積み重ねが大切であることを忘れないように、小石を植物の種(シード)に置き換えて生まれたものです。

今から半世紀以上も前の1954年に、軟質塩化ビニール樹脂を使って字消し効果を高まることを発見し、製法特許を取得した同社は、1958年に世界初のプラスティック消しゴムを発売しました。そして、1968年に誕生した青いスリーブ(胴部分のカバー)の「レーダー」シリーズが大ベストセラーとなり、関西を中心に消しゴムと言えば「レーダー」の名前が真っ先に頭に浮かぶほど、生活に密着したブランドへと成長しています。

逆に関東以北では、あまり名前を知られていないかもしれませんが、その技術力の高さから他メーカーへのOEM供給も行われており、実は消しゴム業界の隠れたトップ企業なのです。あなたが使っている、その消しゴムも、ひょっとするとシード製かもしれません。

今回は大阪の本社を訪問し、字消し製品にかける情熱をお伺いしてきました。

「三現主義」から生まれる独創

元々は消しゴムといえば天然ゴム製だったのですが、自然の材料ですから相場の変動も激しいですし、品質を安定させるのも大変でした。そこで、別の素材を使って、何とか安定して優れた消しゴムは作れないものかと試行錯誤していたときに、軟質塩化ビニール樹脂が字消し効果を向上させることを発見したのです。

新製品の「けしごむはんこ」シリーズでもそうですが、新しい商品というのは、最初は単純な思いつきから始まることが多かったりします。それを世の中に出せるレベルにまで持って行くのは、ひとえに実践あるのみなんですよ。

「三現主義」と言いまして「現物指向、現場指向、現実志向」。シードは、この3つの要素を、トップを含めたあらゆる部署が徹底して重視する会社です。ともかくアイデアが生まれたら試作して、色々と使ってみては改良する。そこから他にない製品ができてくるのだと思います。

そのようにして、世界で初めてプラスティック製消しゴムを発売できたのは、素材の発見から4年後の1958年のことでした。その後も改良を続けた結果、さらに10年後の1968年に1つの完成形とも言える「レーダー」を作り上げました。当時は、1つ20円だったんですよ(注:同時期の公務員の初任給、国鉄・タクシー初乗りは、それぞれ25,000円、20円、100円)。

真面目さの中の遊び心

消しゴムに「レーダー」という名前は意外に思われるかもしれませんが、ここには「レーダーのように、ユーザーのニーズをいち早くとらえる」という願いが込められています。

この「レーダー」が「暮らしの手帖」の比較テストで絶賛されたことから広く知られるようになり、定番商品に育つことができました。

サイズも用途に応じてバリエーションが増えていったのですが、1989年に巨大迷路のイベントがありまして、それに会社として協賛したことから、遊び心で大型のS-JUMBOを作ってみました。これが案外好評だったので、すぐにレギュラー商品に加え、続いてもう少しお求めやすいサイズのS-1000(130×66×27mm)を商品化しました。

すると、文具店からもっと大きいサイズはないかと言われまして、2005年には超巨大サイズ(276×141×43mm)のS-10000も追加しました。消しゴムなのに10,500円もするので、私たちも果たして売れるのだろうかと思いましたが、ギフトとか結婚式の余興などに結構買われるお客さまが多いようです。また、消しゴムファンの間では、S-10000を買ったかどうかがマニア度を測る一種の踏み絵にもなっているらしいですよ(笑)。

「レーダー」消しゴムが、真面目さの中にもそういう遊び心を盛り込んだ製品だとすると、弊社には楽しさを前面に押し出した企画もののシリーズもあります。日本地図や食べ物を模したり、パズルになっていたりと様々な製品を発売してきました。

企画ものの製品の形状は複雑で、専用の金型を起こして射出成形を行う必要があるため、本当はコストばかりかかって割りが合わなかったりします。それでも、お客さまに喜んでいただけるので、懲りずにまた作ってしまうのです。

大阪で字消し一筋の可能性を極めたい

シードは、実はプラスティック消しゴムだけでなく、今ではおなじみとなった修正テープも1989年に世界で初めて開発した会社なんですよ。これも、初代製品から10年くらいかけて納得のいくものに仕上げていきました。

さらに、修正テープを間違ったところに走らせてしまったら困るだろうということで、修正テープ用の消しゴムまで開発したんです。そんなふうに字消し一筋で来た会社ですから、今後ともその可能性をとことん極めたいと思っています。

また、関東以北ではなかなか名前が知られていなかったりもするのですが、あえて創業の地でもある大阪にこだわり、ここから製品を送り出していくことに意義を感じています。「大阪をなめたらアカン」と、そういう気構えで製品開発に取り組んでいるのです。

インタビューを終えて

今回の取材で、シード製品では技術がしゃしゃり出ることなく、あくまでも製品のコンセプトを活かすための縁の下の力持ちとして機能していることが改めてわかりました。これも、優れたデザインの1つの要素として考えて良いでしょう。

人は必ず間違いをします。株式会社シードは、消しゴムと修正テープという、人の間違いを優しく直すための製品を一貫して作り続けてきました。その消しゴムが、ハンコや版画に利用されるときに限っては、何か新しいものを生み出すためのツールになるというのも、面白い巡り合わせですね。

なお、本来は最高機密とも言える工場内への立ち入りも許可していただき、可能な範囲で写真撮影させていただきましたことを改めて感謝いたします。

展示会では、その秘密のベールに包まれた世界最高水準の消しゴム技術が生みだした160種類もの製品を一度にご覧にいただけます。ぜひご来店になり、日本の文房具界の底力の一端を感じとってください。

関連書籍「がんばる日本の文房具」ーニッポンの文具の実力のすべて そこにはハイテクと職人技と情熱があったー


インタビュー 大谷和利(AssistOn)2006.9.11

掲載した写真、およびインタビューテキストはAssistOnが独自に撮影、製作したもの、もしくは株式会社シードから特別に許可を取得し掲載しています。無断転載を禁じます。

about inFocus

単に見た目のデザインだけではなく、その品質や素材、使い勝手、そしてそれらを作りだした人々の「アイデア」についてもきちんとご紹介していくこと。 商品の販売だけではなく、様々な企画を通して、お客様や商品の流通や作り手のみなさんと一緒に、新しい「モノ」の有り方を考えていくこと。 それが私たちAssistOnの願いであり、また使命であると考えています。

inFocus は、展示会やwebによる情報発信を通じ、いま、まさに旬のさまざまなデザインにAssistOn独自の視点でフォーカスするシリーズです。どうぞご期待ください。